「あなたは、アルコール依存症ですよ」医師にそう言われたのは今から8年前のことでした。私は当時、ボーとした頭でそれを聞いてました。ある日突然アルコール依存症になる訳もなく、罹患した経緯をこれから少し記述したいと思います。
子供の頃、私の周りの大人、特に男の人は皆飲んでいたこともあって、大人っていうものはお酒を飲むものだと思っていました。逆に飲めるようになれば、自分も大人の仲間入りが出来ると思っていたような気がします。
大学入学から社会人数年目までは飲み会があれば行くといった機会飲酒(と言っても断ったことは有りませんでした)で、当時私の周りだけかも知れませんが、沢山飲めるやつが偉いという風潮があり、ただひたすら大酒飲みとして楽しく飲んでいました。楽しかったのは自分だけだったのかもしれませんが。
その後、転勤で一人暮らしを始め、ほぼ毎日飲む様になり、飲まいと眠れなくなるような時もありましたが、それでも30代前半まではうまくやっているつもりでした。おかしいなと思ったのは30代半ばで、会社で成人病検診があり、糖尿病と診断され禁酒を言い渡された時です。最初の約3ヵ月は飲まないでいられたのですが、3ヵ月ごとの定期検診が終わるとしばらく飲む、検診が近づくと止めるということを繰り返していたのですが、段々と止められる期間が短くなっていき、おかしいなとは思いながら飲み続け、又止めなきゃと思いながら飲んでいました。そうする段々と体調が悪くなっていき、やる気のなさでありとありゆる嘘をついて、会社を休む様になっていきました。
こんな状態がしばらく続き、会社の産業医から精神科の受診を勧められ、いやいやながら受診、そこで初めて言われたのが冒頭の言葉です。
ただその時にはそれが何なのか説明もなく、というか担当の大病院の精神科部長医師も病名は知っているが、対症療法はよく解かっていなかったようで、会社に提出する診断書「アルコール依存症のため2週間自宅での静養が必要」と記載されていました。当然その後も状況が良くなることはなく、何とか自力で止めようとするのですが、2~3週間でまた飲み、連続飲酒で会社を休むということを繰り返していました。
まあ後から考えてですが、その精神科医の唯一良かった点はアルコール専門病院への紹介状を書いてくれたことだけでした。
まあ後から考えてですが、その精神科医の唯一良かった点はアルコール専門病院への紹介状を書いてくれたことだけでした。
今思うと、この時期はこのままじゃ会社にもいられなくなるから酒を止めなきゃという思いと、大好きなお酒を取り上げられるという恐怖とで、かなり混乱していたように思います。ただ紹介状をもらったけれど、精神科への入院にはもの凄い抵抗感があり、家族と話、酒は止める、入院はしないと言い張りましたが、それも叶わず結局家族に連れられ専門病院への入院となりました。
そして退院後すぐに復職し病院OBの自助会や埼玉西部の断酒会に通い、断酒の日々を送りました。2年ちょっと経過した頃、自助会・例会に参加できない時期がありした。結果、行かなくなって数ヵ月後には飲んでいました。再度の入院中、前回入院していた時の同期の人が院内メッセージに来てくれ「入院しててくれて良かったと言いました。最初何のことか解らなかったのですが、聞いてみると前回の入院で一緒だった人達が10人近く亡くなっているということで、生きてて良かったという意味でした。さすがに考えました。過去のことはさておき、これから先、どうやったら止められるのかと。その時ふと思ったのが、曲がりなりにも例会に出ていた2年間は飲まないでいられたということです。これからも例会出席を続けて、いずれは飲まないでも大人とみられるような人間になりたいと思っています。